石を描く。

球技大会で河原に行った際に拾い集めた石をモチーフに描写しました。
普段意識せずに見ているモノも、じっくり観ていくと様々な発見があります。
「モチーフ」という言葉にはもともと「動機」という意味があり、何気ない石でも観察によって「自分なりの描く動機」を探すことが重要です。

描かれた作品を作者の感想とともに紹介します。

Wさん
石を描く前と後ではモチーフに対する意識が変わりました。色や柄がキレイだったり、形が整ったものばかりに魅力を感じていたのが地味でいびつな石の中にも多くの色が見えたりたくさん連なる面に面白みを感じるようになりました。周り込みや前後感をもっと出したかったです。
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Tさん
さりげなさを出したくて偶然出会った石たちの偶然の景色と空間を表現したいと思いました。なんでもない物を描きながらその景色にせまっていくのがとんでもなく楽しかった!!!床面の表現の大切さに気付いたのと、石の描写をもっと突き詰めたいです。
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Oさん
着彩は苦手意識があったので嫌だなあと思いながら始めた。床面のグラデーションは気に入った表現になったが、石の描写はやはり難しさを感じ最後は気力だけで描いていたように思う。ライトを当て、真上から見た構図にしたが、石の配置はもう少しバランスを考えれば良かったと思う。
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Nさん
私はライオンの家をイメージして石を組みました。実際の大きさよりも3倍くらい大きく描いています。途中、体調を崩してしまい完成できなかったのが残念ですが、引き続き描いて完成させます。
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Tさん
自然物を描くことの難しさと責任のようなものを感じた。一見、勝手が利くように思えるがモチーフの形状に一つ一つ意味があり、それらをイメージしながら制作した。グレーの色も、白と黒を混ぜたのではなく、様々な色を混ぜ合わせて石の歴史を表現できたらと思って描いた。結果としては細かい作業量が足りず、自分の納得いく作品にはならなかったが、モチーフの歴史を考えながら描くのはとても楽しかった。
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Uさん
ただ目の前にある石の表面の表情をそのまま描くだけでは写真と同じになってしまうと思った。描いている途中で先生が言った「(適当に描くのは)石に失礼だ」の言葉の通り、自分よりも遥かに長い年数を存在し続けたた小さな石を前にそれらと向き合い「写生」することに真摯であるべきと実感した。
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Iさん
石の主役と脇役を設定し、布の折り目を分割線に見立てて配置しました。下描きのデッサンで細かく描写し、着色も少しずつ色を重ねて丁寧に描写することを意識しました。周りの人よりも進行は遅かったですが、じっくりモチーフと向き合い普段の制作ではあまり意識しないような細かい要素にも気付き描けたと思います。
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Sさん
手前に描いた石に一目惚れして、この子を目立たせようと思ってこの構図にしましたが、描いていて楽しかったのは奥にある橙色の石でした。描いているときは距離感と質感に苦労しました。初めて背景を描きましたがただ色を塗っただけのようになってしまったので次はもっと考えて描きたいです。
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Fさん
私は天の川をイメージして、色にこだわって選んだ石を砕いてちりばめました。石が細かくて大変だったのと、浮遊感の表現が課題として残りました。
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作品はどれも地塗りをした木製パネルに水彩や油彩で描いています。デッサンなどの基礎トレーニングから感覚表現へと少し踏み込んだ課題です。小さいながらも心を込めて描いた作品が、今後の自分なりの表現を目指すきっかけとなることを願っています。

来週から本格的な専攻別課題(着彩、平面構成、立体構成など)が始まります。