【追悼 松樹路人展 開催中です】
松樹路人先生の追悼展が11/19より北海道立近代美術館の「近美コレクション」にて開催されています。
ご存命の頃、取材でしばしば北海道にお越しになっており、自身の故郷である北海道に対し懐郷の想いがあふれる作品を描かれています。
今展にあたり収蔵された作品を一堂に展示されています。
松樹先生は、北海道を誇る優れた画家である同時に、札幌武蔵野美術学院の『名誉学院長』であり、中央画壇で活躍をされ武蔵野美術大学に教授として教鞭を執られてご活躍されていました。
武蔵野美大での教え子であり愛弟子であった当学院の学院長(高橋伸:独立展会員)にとっては、松樹先生はとても厳しい先生だったと伺いますが、当学院の学生から見れば、大変穏やかで優しい先生だったという印象を受けます。
大病されてから自身に向き合い描かれた自画像の厳しい表情とはうってかわって、講評の際のお顔つきを見れば、特に晩年の松樹先生は表情がお優しく感じてしまいます。
そして、この頃の熟成された画家、松樹路人による講評が学生にとって大変貴重な経験だった事は言うまでもありません。
ここに居た当時の学生はすでに十数年という月日が流れていますが、その間に今現在まで独立展などへの出品と活躍をしてきた者が複数人も出ています。
開催中の追悼展では、独立展に出品された作品など、大作10点と小品などが展示されていますが、学院が設立してから十数年間、
これら2点のデッサンは学院に飾られていました。
松樹先生はテーマを、生活と切り離せない「家族」と日常の「美術学校」で描き、作品内で舞台を描き作る為、背景とのバランスを多視点による構成表現を探求されています。多くの身近なモチーフとして、学生などもモデルに描いていました。
その、習作の2点は、学院の受験生、研究生達が常日頃からプロの画家の作品を見る事が出来るように展示していました。
全作品全て緻密な計算で人物やモチーフが配置され、画力は勿論の事、見事な構成力に、画家の到達した画境がうかがえます。
当時から松樹路人先生は、自身の故郷である北海道に対し、「心を捉えて話さない風景がある」と、しばしばスケッチや取材でも道内を訪れています。
晩年、北大のポプラ並木や教会などをスケッチしていました。
取材に学院スタッフも同行し、そのスケッチの早さや集中力、迷いのない線描に、絵描きの底力を見ました。
「追悼 松樹路人」
会期:2019年11月19日(火)〜2020年3月15日(日)
場所:北海道立近代美術館近美コレクション展示室A(札幌市中央区北1条西17丁目
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松樹路人 略歴
2017年12月19日都内で逝去。90歳。本名は路人(みちと)
1927年留萌管内羽幌町生まれ。北見、佐呂間、女満別などオホーツク管内を回り、網走中学(現網走南ヶ丘高校)2年の時東京へ移住。東京美術学校(現東京芸大)に進学。卒業後、昭和会賞、東郷青児美術館賞、宮本三郎記念賞や芸術選奨文部大臣賞などの受賞をするなど、常に第一線で活躍。
独立展会員、武蔵野美術大学名誉教授、札幌武蔵野美術学院名誉学院長を務めた。